『工場財団の鑑定評価』
黒沢 泰 著A5判・360頁
定価:3,960円(税込)
978-4-905366-04-1 C2034
2011年8月発行
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工場財団の鑑定評価は、不動産鑑定評価の中でも特殊で稀な案件です。しかし、日本不動産鑑定協会では、必須と考えられる基礎知識の習得を目的とした「資格取得後研修」のカリキュラムに組み込んでおり、鑑定士の持っているべきスキルとして要求しています。
鑑定評価の考え方や手法だけではなく、法的な裏付けや登記実務面での取扱い等についても詳述された実務書です。
担保評価を行う銀行等金融機関の方々はもちろん、民事再生法、会社更生法の適用対象となる企業の資産評価が必要な弁護士、公認会計士の方々の参考書としても役立ちます。
《著者まえがきより 抜粋》
本書の特徴として、鑑定実務に役立つための実践的な記述を中心としたつもりであるが、なかには第2章のように歴史的な内容を取り入れたものもある。ただ、本書の性格からして第2章の内容も単なる歴史的な記述に終わることなく、現行の工場財団の鑑定評価の実務がどのような背景に支えられて行われているのか、過去の経緯や経験がどのように現行実務に応用されているのかを知る貴重な資料であると思われる。
また、鑑定評価の考え方や手法面だけでなく、法的な裏付けや登記実務面での取扱い等にも相当のページ数を割いたため、工場財団に関する専門書のきわめて少ない現在、不動産鑑定士以外の方々にとっても役立つものと考えている。
■第1章 工場財団の意義および機能
1 工場財団の意義
2 工場財団と他財団との関係
(1)不動産財団
(2)物財団3 工場財団の機能
4 工場財団の鑑定評価における不動産鑑定士の係わり
■第2章 工場財団の鑑定評価の沿革
1 鑑定規則
(1)当初の鑑定規則(明治30年7月29日制定「抵当物価格鑑定規則」)
(2)鑑定規則の改正(明治34年12月27日「鑑定規則」)
(3)鑑定規則の全文改正(明治42年6月29日)
(4)鑑定及調査規則(大正8年5月15日)
(5)鑑定及調査規則の改正(大正9年12月28日)
(6)鑑定及調査規則の改正(大正14年9月2日)
(7)鑑定及調査規則の改正(昭和14年6月19日)
(8)鑑定及調査規則の改正(昭和16年8月16日)2 鑑定手続
(1)当初の鑑定手続(明治34年8月27日「抵当物鑑定手続」)
(2)鑑定手続の改正(明治38年6月30日)
(3)鑑定手続の改正(明治42年6月19日)
(4)鑑定手続の改正(大正7年11月5日)
(5)鑑定手続の改正(大正12年2月23日)
(6)鑑定手続の改正(大正14年9月2日)
(7)鑑定手続の改正(大正14年10月7日提案)
(8)鑑定手続の改正(昭和10年9月21日提案および昭和14年6月12日提案)
(9)鑑定手続の改正(昭和16年8月11日)■第3章 工場財団と工場抵当法
1 工場抵当法の目的と概要
(1)目的
(2)概要―工場抵当法における「工場」の定義2 狭義の工場抵当と工場財団
(1)類似点
(2)相違点①抵当権の範囲
②組成物の範囲
③目録について
④第三者の権利と抵当権の効力3 工場財団抵当の組成物の実際例
(1)工作物の例
(2)機械器具等の例4 企業評価および民事再生法、会社更生法における評価との相違点
(1)工場財団の鑑定評価と企業評価との相違点
(2)工場財団の鑑定評価と民事再生法における評価との相違点
(3)工場財団の鑑定評価と会社更生法における評価との相違点■第4章 工場財団組成の手順と登記簿および財団目録
1 工場財団組成の手順
(1)財団の組成物件の選択
(2)財団目録の作成
(3)工場の図面の作成
(4)管轄登記所の決定
(5)工場財団の所有権保存登記①登記申請から完了まで
②所有権保存登記完了時およびそれ以降の取扱い2 工場財団の登記簿および財団目録の構成と読み方
(1)財団の登記簿および財団目録の構成
(2)財団の登記簿および財団目録の読み方①財団の登記簿
②財団目録
③財団目録等の実際例3 工場財団に係る登記簿の特殊な記載例
(1)個々の土地・建物の登記簿への記載
(2)財団の登記簿への記載4 登記簿の調査上の留意点
(1)工場財団に属する物件の処分制限
(2)工場財団目録の記載の追加および変更
(3)工場財団の登記簿
(4)工場図面
(5)工場財団と権利の目的
(6)工場財団の組成物件の種類■第5章 工場財団と価格形成要因―土地を中心として
1 土地
(1)工業地の概念
①工業地の定義
②規模による工業地域の区分
③立地面における工業地の分類(2)工業地の価格形成要因―その1:地域要因
①不動産鑑定評価基準
②土地価格比準表
③地域要因把握上の留意点(3)工業地の価格形成要因―その2:個別的要因
①不動産鑑定評価基準
②土地価格比準表
③個別的要因把握上の留意点(4)工業地の地域分析
①地域分析に先立つ一般的要因の分析
②近隣地域
③同一需給圏
④市場の特性
⑤公法上の制限その他の土地利用規制(5)工業地の個別分析
2 建物
3 建物及びその敷地
4 補論
■第6章 工業地の価格形成要因と鑑定評価書の例
1 内陸型工業地の場合
2 臨海部に近接する内陸型工業地の場合
3 臨海型工業地の場合
4 臨海型の大規模工場用地の場合
■第7章 工場財団組成物件の確認と調査
1 対象不動産の確認
(1)対象不動産の物的確認
①一般的な留意事項
②工場の特徴と調査上の留意点(2)権利の確認
①一般的な留意事項
②工場の特徴と調査上の留意点(3)工場設備全般についての留意点
2 工場の物件調査とその参考資料
(1)土地に係る調査例
①接道状況の調査
②土壌調査(2)建物に係る調査例
①アスベスト調査
②建物の耐震診断
③建物の劣化診断(3)土地・建物の重要事項説明書
(4)土地・建物の売買契約書■第8章 工場財団の鑑定評価の方式
1 原価法の特徴と適用上の留意点
(1)工場財団に適用する原価法の特徴
(2)土地価格への適用と留意点①再調達原価
②減価修正
③積算価格(3)建物価格への適用と留意点
①再調達原価
②減価修正
③積算価格(4)構築物、機械器具等への適用と留意点
①再調達原価
②減価修正
③積算価格2 収益還元法の特徴と適用上の留意点
(1)工場財団に適用する収益還元法の特徴
(2)適用上の留意点①純収益把握の留意点
②企業収益に基づく収益還元法適用の手順
③収益還元法適用上の問題点と検討課題3 取引事例比較法について
4 試算価格の調整および鑑定評価額の決定
(1)通常の不動産の場合の考え方
(2)工場財団の場合の留意点■第9章 工場財団の鑑定評価方式適用の具体例と特徴
1 鑑定評価方式適用の特徴
2 工場財団に関連する経済的要因の調査事項
3 企業収益に基づく収益還元法適用の課題
(1)手法の基本的な考え方および適用方法に関して
(2)適用上の個々の問題に関して【資料】工場抵当法(明治38年3月13日法律第54号・最終改正:平成22年12月3日法律第65号)
■索 引
工場財団の鑑定評価
黒沢 泰978-4-905366-04-1