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『底地の鑑定評価と税務評価』

黒沢 泰 著
A5判・266頁
定価:4,400円(税込)
978-4-910288-39-0 C2034
2023年10月発行

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底地とは何か。これを明らかにすることは考えたほど容易ではない。
底地は更地や建付地とどのように異なるのか、底地と借地権とは相互にどのような影響を及ぼし合い、価格にどのように影響するのか。また、相続が発生した場合や一般の不動産取引や売買などの際にも底地が問題とされることも多い。
底地の鑑定評価に特化した書籍がきわめて少ない現在、本書が何らかの参考に資することができれば幸いである。

目次

第1章 底地とは何か

 1. 他の類型(更地、建付地、借地権)との相違

  (1) 更地との相違

  (2) 建付地との相違 

  (3) 借地権との相違 

  (4) 底地の意義 

 2. 「底地」であって「底地権」とは呼ばない理由 

 3. 過去の文献にみる底地概念へのアプローチ~不完全所有権 

 4. 財産評価基本通達における取扱い 

 5. 不動産取引と底地の概念 

 

第2章 借地権と底地の表裏一体の関係 

 

 1. 基本的な考え方 

 2. 不完全所有権と利用権の分離から生ずる問題 

 3. 地代からとらえる借地権価格と底地価格の関連性 

 4. 底地が先か借地権が先か 

 5. 多面的な角度からとらえる借地権と底地の表裏一体関係 

  (1) 底地を借地人に売却する動機 

  (2) 基準にいう限定価格との関係から 

  (3) 賃貸借契約の内容と底地の関係 

 

第3章 底地の市場性 

 

 1. 日税不動産鑑定士会「継続地代の実態調べ」より 

  (1) 令和3年版調査の前提 

  (2) 調査の背景 

  (3) 借地の動向分析 

  (4) 地代水準等の調査結果 

 2. 東京都不動産鑑定士協会研究研修委員会発行『継続地代の調査分析』より

 3. 継続地代の水準が低い背景 

  (1) 過去の月刊『不動産鑑定』誌掲載の対談記事 

  (2) 月刊『不動産鑑定』誌掲載の横須賀博論稿 

  (3) 借地権評価に関する過去の文献から 

  (4) 借地借家法改正時の論稿から 

  (5) 『要説不動産鑑定評価基準と価格等調査等ガイドライン』による理論付け 

 4. 定期借地権の新規地代利回り 

  (1) 借地契約の形態と地代~定期借地権を中心に 

  (2) 定期借地権の地代利回り 

 

第4章 底地評価の考え方―財産評価基本通達との比較― 

 

 1. 底地価格の性格

 2. 底地評価の2つの前提~正常価格か限定価格か

 3. 底地の正常価格 

 4. 底地の限定価格 

 5. 財産評価基本通達における貸宅地の評価方法 

 6. 底地所有者が借地権を買い取る場合も限定価格といえるか 

 

第5章 鑑定評価における底地の評価例 

 

 1. 普通借地権の付着した宅地 

  (1) 底地(旧借地法)の正常価格の評価《その1》~典型的な例 

1⃣  借地権の価格と底地価格の表裏一体性 

2⃣  底地の収益価格が低く求められる理由 

  (2) 底地(旧借地法)の正常価格の評価《その2》~貸主・借主が特殊な関係にあり、しかも経済地代が授受     されている場合 

     1⃣  経済地代が授受されている場合の特徴 

     2⃣  税務上の相当地代が授受される背景 

     3⃣  権利金に代えて相当地代が授受されている場合の課税関係 

     4⃣  土地の無償返還に関する届出がされている場合の課税関係 

     5⃣  借地権と底地の表裏一体性という側面からとらえた場合 

     6⃣  収益還元法との関係 

  (3) 底地(旧借地法)の限定価格の評価~借地権者が底地を買い取る場合 

     1⃣  正常価格と限定価格の本質的な相違 

     2⃣  増分価値の配分について 

     3⃣  底地の所有者(借地権設定者)が借地権の併合を目的とする売買に関連する場合 

  (4) 底地(旧借地法)の買受価格の調査~借地権者と借地権設定者(貸主)間の売買で限定価格に該当するが、価格調査として実施したため価格の種類は表示していないケース

 

 2. 事業用定期借地権の付着した宅地の評価例~借地権者が底地を買い取る場合

 3. 底地の鑑定評価の基になる賃貸借契約書 

  (1) 旧借地法による土地賃貸借契約書 

  (2) 新しい借地借家法による事業用定期借地権設定契約公正証書 

 

第6章 財産評価基本通達における底地評価の考え方と評価例 

 

 【財産評価基本通達における底地評価の枠組み】 

 

 1. 普通借地権の目的となっている宅地 

  (1) 評価の考え方 

  (2) 評価例 

 2. 定期借地権等の目的となっている宅地 

  (1) 基本通達25(2)が適用される「定期借地権等」の目的となっている宅地 

  (2) 個別通達が適用される「一般定期借地権」の目的となっている宅地 

 3. 評価上のポイントの比較~普通借地権と定期借地権 

  (1) 普通借地権の場合 

  (2) 定期借地権の場合 

 4. 一時使用目的の借地権となっている宅地 

  (1) 評価の考え方 

  (2) 評価例 

 5. 宅地の評価単位~貸宅地を中心に 

  (1) 評価単位に関する基本通達の規定 

  (2) 「質疑応答事例」等による宅地の評価単位の具体例 

 

第7章 財産評価基本通達に基づく裁決例案・裁判例と鑑定評価 

 

 1. 貸宅地に係る裁決事案と鑑定評価~収益還元法に活躍の場はないのか 

  (1) 問題の所在 

  (2) 裁決事案 

  (3) 貸宅地の評価に収益還元法の活躍の場はないのか 

 2. 底地価額の算定に当たり財産評価基本通達に定める借地権価額控除方式が合理的であり、納税者が依頼した不動産鑑定士による収益還元法の適用が認められなかった事例 

  (1) 事案の骨子 

  (2) 事実関係 

  (3) 当事者の主張 

  (4) 裁判所の判断 

  (5) 収益還元法が受け容れられなかった理由 

 3. 納税者が相続により取得した土地(貸宅地)の価額は不動産鑑定士が作成した価格評価書(収益還元法を適用)によらず、財産評価基本通達による方法(自用地価額から借地権割合相当額を控除した金額)によるべきであるとした事例 

  (1) 事案の骨子 

  (2) 事実関係 

  (3) 当事者の主張 

  (4) 裁判所の判断 

  (5) 特別の事情の認められなかった理由 

 4. 参考事例 

 

第8章 底地の鑑定評価をめぐる今日的課題 

 

 1. 借地権と定期借地権の相違点~存続期間を中心として 

  (1) 借地権の存続期間~定期借地権は除く 

  (2) 定期借地権の存続期間等 

  (3) 定期借地権の活用状況

 2. 定期借地権とその底地の収益期間の特徴 

  (1) 定期借地権について 

  (2) 底地に関して 

 3. 底地の相続と共有問題 

  (1) 底地の特徴

  (2) 底地を相続する場合のメリット・デメリット 

  (3) 共有状態にある底地売却上の留意点 

  (4) 借地権者が底地を購入することにより解消される問題点 

 4. 改めて考える「底地価格の本質」 

  (1) 借地権と底地の複雑な関係 

  (2) 底地の鑑定評価上の問題点 

 5. 底地取引の新動向 

  (1) J-REITによる投資不動産の用途~オフィス、共同住宅、商業施設から物流施設、ホテル、ヘルスケア施設、工場および底地まで 

  (2) J-REITにおける底地取得の動機 

  (3) J-REITが保有する事業用不動産の底地の地代および利回り水準

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